東京オリンピックが始まりましたね。日本選手団のメダルラッシュ!頑張れニッポン!!
痛みや症状の中でも「しびれ」という感覚は決して気分のいいもではありませんし、症状が続くと治るかどうか心配で不安になりますよね。
手の痛みやしびれ感覚には、発症においていくつかパターンがあります。
今回はその中でも時々当院で見る肘関節にまつわる症例を紹介します。
この記事を読むべき人
- 手のしびれの一因を知りたい人
- 肘の解剖学を少し知りたい人
- 肘の痛みで悩んでいる人
- 手のしびれで悩んでいる人
- 円回内筋という名前を初めて聞いた人
- あすも院長のブログが好きな人
- 暇な人
- なお、このブログを読んだからといって症状が改善することは保証しません
円回内筋(えんかいないきん)
円回内筋 (Pronator Teres muscle)は肘のあたりにある筋肉で、その働きは
①前腕の回内(かいない)
②肘関節の屈曲(くっきょく)
肘を曲げた状態でコップの水を捨てる動作といえば、理解しやすいかと思います。(写真参照)
円回内筋(Pronator Teres muscle)は肘の内側から橈骨の外側部に付着する筋肉です。筋肉に詳しくない人には聞きなれない名前かと思います。
スポーツではテニスや卓球のフォアハンドで、ドライブスピンをかける時の内側へのひねり動作に円回内筋が作用しています。
またこの筋肉を痛めやすい競技としては、今盛り上がっている東京オリンピックの陸上競技:やり投げ(投てき)も挙げられます。「投てき肘」などといったりします。
円回内筋の解剖学
円回内筋は二頭筋構造をしていて、浅層に上腕骨内側上顆から起こる「上腕頭」と深層に尺骨鈎状突起(こうじょうとっき)から起こる「尺骨頭」とで起始部が2つに分かれています。停止部の橈骨外側面に至るまでに2頭は合流しますが、その手前で両頭の間を正中神経が走行するため、円回内筋が過度に緊張を起こすことで正中神経に障害を引き起こすものといわれています。これが原因で肘の痛みや手のしびれなどを伴うものを 『円回内筋症候群』といいます。(下図を参照)
円回内筋症候群の症状
では、どのような症状が起きるのでしょうか?
以下は『円回内筋症候群』の症状のいくつかです。
- 円回内筋部の圧痛(特に肘の内側あたりを抑えると痛む)
- 握りこぶしを作ろうとすると、薬指と小指は曲がるけど他の3本の指は完全に曲がらない
- 親指と小指の指先を向かい合わせにくっつける動作ができない(母指の対立運動障害)
- 母子球筋の圧痛
- ペットボトルのような筒状のものを完全に握ることができない(ボトル徴候)
- 手のひら側の親指・人差し指・中指のしびれ。また薬指の先端のしびれ(正中神経障害)
円回内筋は「前腕屈筋群」に含まれるのですが、他の前腕屈筋群(橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋など)も同様に正中神経の支配を受けるため、症状がより広範囲にわたります。
似たような症状をもたらすものに「手根管症候群」というものがありますが、手首から先の痛みや症状が主なため、円回内筋症候群とは見分けがつきやすいかと思います。
円回内筋症候群の原因
これらの明確な原因というのは、なかなか限定しづらいというのが本音ですが、先にも述べたようにやり投げ選手やテニスをする人が遭遇する可能性のある症状なので、肘の内側に負担がかかるスポーツや動作などが関与することは多いと思います。
繰り返される肘の屈曲と前腕の回内動作。また肘の内側の靭帯に負担をかけるような動作(外反ストレス)なども大いに関係しているかと思います。
多くは反復動作による筋疲労から、慢性的な筋緊張を起こし、筋の損傷を起こした結果として神経症状が現れると考えられます。
また長時間のパソコンでのマウス操作やスマホの片手操作などで、それらの症状を助長することも考えられるので、原因を考える時は日常生活の面から見直してみるといいかと思います。
円回内筋の改善方法
筋肉の損傷や過緊張などから起こる障害と考えられるので、筋緊張を取り除くことが優先事項になるかと思います。
どのような施術・治療法でもいいとは思いますが、痛みが強い場合や、しびれ(神経症状)が出ている時は基本的に安静とし、必要以上に痛む部位への負担をかけないことです。
ちなみに、当院では鍼灸で筋緊張の緩和、痛みの抑制、神経症状へのアプローチを行っています。
また無理にストレッチしたり、知識なく闇雲にマッサージなどで刺激すると悪化させたり治癒を遅らせる可能性があるので、一度は医師や専門家の指導を仰ぐことをお勧めします。
症状がひどい時は、骨膜などへ障害が及んでいる場合もあるので、専門の医療機関への受診を急ぎましょう。
セルフケアとしては、肘へのアイシングが効果的です。運動後や痛みが出ている時、熱感がある時はその部分を覆う大きさの氷嚢や氷袋を作って、20分くらい当てがって冷やすといいです。
これはスポーツをやる方にはプロ・アマチュア問わずお勧めするセルフケアです。肘だけの問題ではなく、スポーツ特性によって負担のかかる部位や痛みが出現している場所に、練習後やプレー後の毎回のルーティンとして取り入れていただけると嬉しいです。
その他、肘用のサポーターや圧迫バンドなども有効な場合もあるので試してみるといいですが、日常的には患部の保温に努め、温めて治癒を促すことが大切です。
テニス肘、ゴルフ肘、野球肘、手のしびれ
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