ちくわ素揚げ

ちくわの天ぷらより、素揚げが好き!
どうも、あすも院長です。

久しぶりのブックレビューです。昨年から蔓延している新型コロナウイルスですが、なかなか収まる兆しが見えませんね。連日テレビニュースでは感染者数やら重症者数が過去最高!などと意気揚々と放送されているようですが、見てるだけ聞いてるだけで うつ になりそうですよね。
そんなわけで長いこと私は99%TVカットの生活でストレスフリーな毎日を送っています。

さて今回紹介する図書は、ズバリ

免疫力
藤田紘一郎(医学博士)

免疫力

初版発行が昨年2020年7月ということで、この新型コロナウイルス騒動による第一弾・国民総自粛生活が明けた頃にリリースされたものです。寄生虫学&免疫学が専門である藤田先生の少しユニークな視点で、この困難な時期をどのように乗り越えていくべきかということがわかりやすく書かれています。

タイトルにあるように「免疫力」を養うことで、新型コロナしかり、あらゆる病気に対抗できうる強い体を作りましょう!というのが本書の狙いだと思われますが、その HOW TO に細かく答えてもらっているような内容なので、1冊手元において参考書的に使ってもよいかもしれません。では簡単にレビューしていきます。(とはいえ少し長くなりますが)

第1章:「免疫力」を高めるには、免疫を正しく知ること
第2章:免疫力は「腸内細菌」で強くなる
第3章:免疫力を上げる食べ物、下げる食べ物
第4章:「笑う」「寝る」「好きなことをする」で免疫は3割上がる

第1章

はじめに免疫力の理解として、細胞レベルの基礎医学を説明されています。好中球・好酸球・好塩基球・マクロファージ・NK細胞・B細胞・T細胞など、専門用語が出てくる部分は、あまり生物や医学に詳しくない方には読みづらい部分かと思います。この辺を理解しておくと、すんなり話が頭に入ってくるのですが、私も学生時代に病原微生物学の講義には手を焼いた方なので、無理に理解しようとせずに「そういうものがあるんだ、そんなもんか」くらいでいいかと思います。

  • ウイルスとの共生

この章でのポイントは、ウイルスの目的が「殺人」ではなく「共生」であるということ。

ウイルスは人や動物などに寄生して、自分の子孫を増やすために、感染力を高め、病原性も強めます。しかし、病気を悪化させて宿主が死んでしまうと、ウイルス自体も死んでします。するとウイルスも困るから、病原性を徐々に弱めていくことで、生き残る道を探っているのだいうことです。

一方で、人間も抵抗力を高めていくことで、お互いのバランスが保たれたときに、流行が治っていくということ。

  • 46億年物語

地球の誕生から人類の登場まで46億年の歴史を1年間で例えると
①地球誕生 1月1日
②最初の生命体=微生物の誕生 3月25日
③海中生物が陸に上がったのが 11月20日
人類の誕生 12月31日午後2時30分
だそうで、まだこの地球でたったの9時間半しか存在していない人類こそが新種であって、もともと地球は微生物のものだったという話です。

生物学や生態系について学んだことがある方は、比較的こういった ヒトは生態系の一部に過ぎない という考え方にしっくりくるかもしれませんが、人間こそが多種を凌ぐ高等動物であるという感覚でいるとなかなか理解できないものかもしれません。

  • 日本人はアレルギーになりにくい民族だった

長年の研究により、回虫などの寄生虫がヒトの腸にいると、アレルギー疾患やがんの発症が抑えられることがわかった。それにより著者は、免疫とは「生体の防御」というより「共生のための手段」であるという発想に至ったということです。

終戦時(1945年)の日本人の回虫感染率は70%超。
戦後の集団駆虫政策により、
1960年代で20%台、
1970年代で2%台、
1980年代には0.2%まで減少した。
しかし結果としてアレルギー疾患を発症する人が激増した。(戦前戦後に日本にはすぎ花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患になる人はほとんどいなかった)

というのも、昔から日本には下肥(しもごえ)を使って畑を耕していた。日本人の腸には回虫がいたので、大便をするとその卵が一緒に畑に放たれ、回虫の卵が野菜にくっつき、その野菜を食べるとまた人間の腸に卵が戻ってきて、そこで成虫に育つという生態サイクルが育まれていた。しかし、昔の日本人は生野菜を食べる習慣がなかったため、一度に多量の回虫をお腹に入れることはなかったので、ほどほどの回虫とうまく共生していたということです。

このことを裏付ける発見が著者の研究により、明らかにされています。詳細は是非本書を読んでいただきたいのですが、一言でまとめると「アレルギーを引き起こすIgE抗体を、回虫や寄生虫が不活性化させる」というものです。

  • 皮膚常在菌のつくる皮脂膜はバリア&天然の保湿成分

皮膚の常在菌は、皮膚から出る脂肪をエサにして、脂肪酸の皮脂膜を作っていて、この皮脂膜は弱酸性である。病原体の多くは、酸性の場所で生きることができない。つまり、皮膚常在菌が作り出す脂肪酸は、病原体が付着するのを防ぐバリアの役目があるということ。

なので、過度の手洗いやアルコール消毒をし過ぎれば、そのバリアは剥がれ落ち、外からのウイルスや細菌が付着しやすくなってしまいます。つまり、手を無菌状態に保とうとすればするほど、病原体を手につけやすくしてしまうということなのです。

また、皮膚常在菌のつくる皮脂膜は天然の保湿成分であることから、石鹸や消毒剤を使いすぎると、乾燥肌が進み、皮膚炎症をおこす原因になります。著者の考えでは、普段の手洗いは流水で10秒で充分だということです。

石鹸の手洗い1回で、皮膚常在菌の90%が洗い流されるといい、1割ほどの常在菌が残っていれば、再増殖されて12時間後には元の状態に戻るそうです。つまり、何度何度も石鹸で手洗いすることにより、皮膚常在菌が戻らなくなり、皮脂膜バリアは構築されないということです。

手の洗いすぎの方や、アルコールスプレーを何度も使っている方は是非ご留意いただきたいポイント。そして、すべての常時菌が体に悪さをするわけではないということを理解しておきましょう。(ちなみに地球上に無数にいるウイルスのうち、人に病気を起こすウイルスの割合はたった1%で、99%は病気を起こさないとみられている)

*ただし、今のような感染症が流行している時はしっかり洗うことも必要だと著者は言及されています。

基本は手洗い!

第2章

この章では、腸内細菌の重要性について書かれています。現代の医学では、善玉菌や悪玉菌と区別して、良い菌、悪い菌などとレッテルを貼って良い菌ばかりにフォーカスしがちですが、最も重要なことは、そのバランスです。

  • 人の体は9割が細菌

人体にはおよそ37兆個の細胞で構成されていて、100兆個以上の細菌がいます。その共生菌はほとんど、腸に存在します。そして、腸には免疫細胞の7割が集まっていて、その免疫細胞の働きを活性化するのが腸内細菌ということです。

  • 腸内細菌が免疫力を高める黄金バランスとは

乳酸菌(善玉菌)が増えると免疫力がとよくなる!しかし、そればかりを摂取しても腸内環境はよくなるわけでななく、ライバルとしての悪玉菌が存在するからこそ、菌同士が活性することにより、免疫細胞を増強させるということです。当然ながら、悪玉菌が増えすぎると、腸内環境を悪化させて、免疫を低下させてしまいます。腸内細菌のほとんどは、日和見菌(普段は何の良さも悪さもしない)ですが、これは善玉菌と悪玉菌のうち、どちらか優勢な方に味方をする菌です。

最も良い、黄金比率は
善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7
とのことです。まあ数字を言われてもピントは来ませんけどね…

  • 腸内フローラ

腸内フローラとは、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のことで、叢は草むらを意味しています。腸にはおよそ200種類の細菌が存在し、各々が仲間の菌と集団(コロニー)をつくって、なわばり争いをしながら棲息しています。多種多様のコロニー形成が、まるで野生のお花畑のような美しさがあることから「腸内フローラ」と呼ばれています。

この腸内フローラが美しく、バランスよく大きく育つと免疫力が増強することから、「腸内フローラ健康法」というものを著者は提唱されています。

腸内細菌は、人が食べたものをエサにして繁殖するため、私たちが日頃から食べているものによって状態が変化します。

「腸内フローラ健康法」3ヶ条とは
①野菜類、豆類、果物類、全粒穀類(玄米・五穀米など)などの植物性食品をとる
②発酵食品を毎日とる
③食物繊維やオリゴ糖をとる

反対にとってはダメな食品=腸内フローラにダメージを与える食べ物
→ 化学合成された食品添加物を含む食品

ハム、ソーセージ、かまぼこ、パン、ケーキ、ケチャップなどの加工食品。またインスタント食品やレトルト食品、冷凍食品など。
これらに使われる保存料(例えばソルビン酸)が細菌の増殖を阻害してしまうため、日常的に摂取していると腸内フローラは育たず免疫力が崩れる原因になりうるということです。

腸内フローラが豊かに美しく整っていると、風邪や食中毒になどの感染症にかかりにくくなる。というのも、腸内に築かれた細菌のコロニーが他の菌の侵入を排除する働きがあるからです。逆に、食品添加物ばかり摂っていると、腸内細菌の数が減り、腸壁に空き家(隙間)ができてしまいます。そこには病原体が取り付きやすくなるため、体内に入り込みやすくなってしまうということです。なので、腸壁の空き家は増やさないように、腸内フローラ健康法が大切になります。

腸に良いこと(腸内フローラ健康法)を始めたら、2週間は最低続ける!そうすれば、腸内細菌のバランスはほぼ入れ替わるということです。

  • SIBO(シーボ:小腸内細菌異常増殖)

腸にいいものだからといって、熱心に食べ過ぎると SIBO (Small Intestinal Bacterial Overgrowth)という小腸の中の細菌が異常に増えすぎてしまう現象が起きます。症状としては、腹痛、お腹の張り、下痢、便秘、げっぷやおならがたくさん出るなど。

腸内細菌のエサになるものばかりを熱心に食べていると、大腸の中の腸内細菌が増えすぎて、小腸に上がってきてしまい、小腸の細菌の数が増えすぎてしまいます。結果として、腸内細菌が働きすぎて、大量のガスを発生させます。小腸は本来ガスが発生する場所ではないため、腸管の働きを停滞させてしまい、栄養を吸収しづらくなってしまいます。つまり、免疫も低下させてしまうのです。

SIBOを防ぐには、腸内のフローラによい食品をバランス良く、ほどほどに食べることが大切です。一度大量に食べるのはNGです。毎日の積み重ねが強い腸内免疫を作っていくことを頭に入れておきましょう。

第3章

第3章は具体的に免疫力を上げる食べ物、下げる食べ物を紹介しています。こういった情報は、多くの健康本や栄養学、マクロビオテック的な話とかぶると思われるので、詳細は避けますが、あげられているアドバイスを箇条書きにします。

  • 白米、パン、ラーメン、パスタ、うどんでは免疫力は上がらない
  • 日本人の腸には、ヨーグルトより納豆や味噌が良い
  • 食物繊維の摂取が、悪玉菌の異常繁殖を抑える
  • 土つきの野菜を買ってこよう
  • 丼ものやラーメンばかり食べていると、デブ菌(フィルミクテス門の細菌)が増える
  • ランチをするなら、定食屋かファミレス(サラダバーつき)がよい
  • 「低糖質・低脂質・高食物繊維」という食事を心がける
  • 「納豆+生のまま刻んだオクラ+ヤマイモ」で腸を元気に
  • ゴボウは毎日食べたいが、一度に大量を食べ過ぎてもいけない
  • 納豆に刻みネギを加えると、血液がさらによくなる
  • 加工食品を避ける食生活が免疫力の低下を防ぐ
  • サラダは自宅で手作りし、買ってこない
  • きれいなバナナより、黒いバナナに効果あり
  • 食物繊維は毎日20グラム以上取らなければいけない
  • いろんな野菜を蒸して、食物繊維をたっぷりとる
  • しいたけを干してから食べると、インフルエンザ予防によい
  • 海苔やワカメ、昆布、ひじきを毎日食べる
  • ビタミンB群の摂取にはまず腸内細菌が大事
  • 野菜や果物を食べると細胞の酸化を防げる
  • 白ごまより黒ごま、白ワインより赤ワインを選ぶ
  • 玉ねぎの薄皮は味噌汁の出汁に使う
  • 風邪の多い季節には、ブロッコリーを毎日食べる
  • 生ニンニクは1日1かけまでとする
  • キャベツ葉を4枚、食前に食べる
  • サラダ油やマーガリン、ラクトアイスは口にしない
  • 刺身や亜麻仁油をとっていると、感染症を悪化させにくい
  • ステーキを週に2回食べよう
  • 豆腐や納豆、味噌で乳がん・前立腺がんを防ごう
  • パンやパスタなどの小麦粉食品は週に2回までに

各々の意味は、ぜひ本書を読んでいただきたいところですが、フィトケミカルについて少々・・・
「フィトケミカル」を含む野菜を食べましょう! ということで、フィトケミカルには抗酸化力があり、活性酸素の害を抑えるのでオススメ!例えば、たまねぎの薄皮に含まれるケルセチン(ポリフェノールの一種)はフィトケミカルですが、その抗酸化作用はがん細胞を死に導く効果が期待できます。

玉ねぎの薄皮を煮立てる

第4章

この章は、一種の養生訓みたいなもので、この手の図書の最終章のパターンみたいな感じです。とにかく免疫を上げるには「笑う」「寝る」「好きなことをする」
以下、前の章と同じく箇条書きにしてみます。

  • 不安やイライラが強いとき、免疫力は低下している
  • 昔の人はうつ病で引きこもることによって感染症を防いでいた
  • ストレスを感じさせるものとは距離を置く
  • 「恐れることのない、つくられた恐怖」に踊らされない
  • 食事中にグチをいったり、叱ったりしてはいけない
  • 努めてでも、陽気に楽しく暮らしていこう
  • ニコニコ笑って食事をすれば、ダイエットにもよい
  • 1日1時間歩く人は、がんになりにくい
  • ゆっくり吸って、ゆっくり吐くトレーニングをする
  • のどがかわく前に、水をちびりちびりと飲む
  • 「非加熱」「鉱泉水・鉱水・温泉水」「アルカリ性」の天然水を飲む
  • 入浴と足裏マッサージで血行を促進
  • 睡眠時間を削ってまで、がんばろうとしない
  • 熟睡のためにはスマホを置き、本を手にする
  • 朝は太陽の光を浴び、コーヒーを1杯飲む

基本的には、ストレスを減らして、規則正しい生活を送りましょう!という話です。日々健康的に過ごすためのアドバイスが書かれています。

コーヒーで一服!

【あすも院長の感想・まとめ】
この本のポイントは、寄生虫学の研究をされてきた藤田先生ならではの、他者との共生という視点である。特に腸内細菌と免疫力についての関係性は、非常にガッテンのいく内容だと思う。免疫力を上げるためには、身の周りの微生物の存在が欠かせないわけであり、無数に存在するウイルスや細菌を排除することなど到底人間レベルでは成しえない話なわけである。かといって、自然任せに死を選ぶわけにはいかないのも人の心情だ。生まれてきたからには簡単に死んでたまるかというのが本音だ。肝心なのは、何が正しくて正しくないか。
世の中に流れ出る新型コロナウイルスの情報は相変わらず、一貫性がなく、あやふやなものが溢れかえっていると思う。テレビや新聞にしても、根拠の薄いものを実しやかにすぐに発表するし、専門家の先生も机上の空論なのか、推測なのか、希望なのか、、、そういう誰もわかっていないことだからこそ、大衆も不安になるわけだ。そんな不確定な情報は、我々も注意して見ていく必要があると思う。ワクチン接種においても、効くか効かないか体に有害か否かをわからずに推し進められても国民は不安でしかないだろう。そもそもすぐに変異を繰り返すウイルスに対抗するワクチンなど1年足らずの短期間に作れるものだろうか・・・至って懐疑的である。
有史以来、人間が何度となく感染症の危機に遭遇してきたが、未だに全滅はしていない。というのも、地域性うんぬんもあるが、同じウイルスや細菌においても、やられてしまう人もいれば、やられない人がいる。ひとえに個体差である。微生物との関わり合いを繰り返しながら、我々人間は生き延びてきた。いわば生存競争の中で生き延びたサバイバーの末裔なのである。
今回の新型コロナウイルスにおいても、90歳代の高齢者で感染した方が見事に克服して退院されたというニュースを見た。よかったと思うと同時に、これはただの幸運なのだろうかとも思った。が、それはむしろ偶然ではなく、必然だったのだと思う。その方が90年以上どういう生活をされてきたかは知る由も無いが、結果として彼人は新型コロナウイルスに負けない免疫力を持っていたというのが正解なのだろう。
本書で藤田先生が書かれていることを、まるまる実践できれば確かに理想的な免疫力のある体が作れると思う。一方で、現代人の多くはその通りにいかない難しさがあるのも事実である。とはいえ、免疫についてを理解を深めることで、自ずと何をすべきかは見えてくるわけで、徐々にそっち向きの思考にシフトしていくため、行動にも反映されてくるはずだ。そんなことを思いながらも、頭の中ではピザやらチーズバーガーやらホットドッグばっかり食べていたいと思う非合理な脳みそがあることは隠しようのない事実なのだ・・・

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