ツナたまごサンドイッチは、いつもタマゴの方から食べる派です!
どうも、あすも院長です。

私はほとんどテレビを見ないのですが、とはいえテレビ以外の情報からも連日「新型コロナウイルスの感染者の数」をニュースで一生懸命流しているようです。やれ300人だ、400人だ、2桁にさがった、だのと・・・

そもそもですが、無症状の感染者って何ですか? 患者なんですか? 表現が自由すぎて、少なからず医学の片鱗を学んできた身としてはいささか不快な表現にも思えますが・・・

まあ細かな突っ込みを入れるときりがないのでやめておきますが、そんな新型コロナウイルス感染症とどのように向き合っていくかということが今回紹介する著書にあります。

「新型コロナウイルスの真実」岩田健太郎 著

ご存知、ダイヤモンド・プリンセス号に DMATとして乗り込んで、船内の様子をYouTubeで海外に発信されて注目 (&批判)を浴びた方です。

肩書きは神戸大学医学部の感染症専門の教授・医師です。

本書の構成としては、5部構成で、
①コロナウイルスの説明
②各自ができる感染症対策の提言
③ダイヤモンド・プリンセス号で起こっていた話
④新型コロナウイルス後の日本社会の変化
⑤感染症と向き合う心構えについて
というような感じになっています。

全217頁ですが、文字数はそれほど詰まっていないので結構早く読み切れるものです。

もう8月も後半になり、コロナ騒動から時間が経つものの、解明されている事実はなかなか乏しいというの現状かと思われます。SNSやインターネットなどでは、様々な情報が飛び交っていますが、信ぴょう性に欠けるものが多く判断材料となるものが多くないのではないでしょうか。

この本は、すでに3月下旬に執筆されたものなので、その時点でわかっていることを書いているようですが、ことコロナウイルスに限った話だけではなく、感染症対策という意味は非常に有益で正しい情報が書かれていると感じたので簡単にですがまとめてみました。

▲今回の新型コロナウイルスに対する考え方

1、新型コロナウイルスにおける日本政府の対応は大方正しかった。
2、PCR検査の陽性になる感度は6〜7割程度。陰性だとしても3割程見逃しがある。
3、感染しても8割の人は多少の症状が出た後に治る。
4、残りの2割は症状が出てから1週間くらい経つと徐々に症状が悪化し気道感染の症状が出てくる。
5、カトレラやアビガンがこのウイルスに効くという科学的データはない。
6、若者がウイルスを広げているということには疑問符。
7、クラスターは閉じた空間にたくさんの人がいる環境で起こるので、それ以外の野外などの活動は特に問題がないのでないか。
8、 PCR検査は診断の拠り所にはならないため(あてにならないため)、医者は正しく診断ではなく、正しく判断することが重要である。
9、新型コロナウイルスは①飛沫感染②接触感染によるもの。よって、2m以上のソーシャルディスタンス(距離)ととることと、アルコールによる手指消毒や手洗いなどをすれば、感染予防につながる。
10、ただし、感染症に対するゼロリスクはない。絶対に感染したくなければ、一人で部屋に引きこもる他ないが、それはそれで別の意味で病気だ。

▲ダイヤモンドプリンセス号での出来事

1、厚生労働省が派遣した、 DMATという災害派遣医療チームは、主に救急の専門家たちで感染症とは何も関係のない専門家であった。
2、厚生労働省の管轄下にあるFETP(感染症危機管理を行う人材育成プログラム)も最初に船内に乗り込んだが、特に感染防御に関わらずすぐに出て行ってしまった。FETPは数を数えたりする現状把握するだけのプロ。
3、DPAT(災害派遣精神医療チーム)も入っていたが、精神科医が当時の船内に入る必要性はなかった。医療面接を行うのなら、スマホなどを利用する方法があったはずだ。
4、PPE(防護服)の着脱にはスキルが必要であり、何度も練習しないとできるようにならない。なのに、感染症の専門家でない人たちが船内にPPEを着て入っていたことに対する疑問。つまり、DMATもDPATもそれらを正しくできていなかった結果として、その中から感染者が出てしまった。
5、船内はレッドゾーン(感染リスクのあるエリア)とグリーンゾーン(安全エリア)の区分けがしっかりできていなかった。PPEを着た人が歩き回っている(レッドゾーン)の横を、背広姿の人(官僚やその他)が携帯電話片手にあーだこーだ議論しながら歩き回っていた。ゾーニングができていなかった。
6、色々な指摘と提案をした結果、2時間で船外に追い出されてしまったという話。

▲YouTube動画に公開したわけ

1、世界から注目を浴びてるプリンセス号の情報が外に出て来ない不安から。
2、英語版でも動画を投稿したのは、日本のメディアに潰されかねないと感じたから。なぜなら、日本のメディアは事実よりも欲望に忠実だから。
3、日本国内の問題ならば、みんな頑張ってるんだから文句を言うなという論法も支持を得るかもしれないが、世界は絶対に許してくれない。つまり海外メディアにとって日本の論理は関係なく、オープンな情報提供こそが求められていた。
4、ダイヤモンド・プリンセスの感染対策は失敗した、というのが世界的な認識・評価であり、それを日本政府は失敗と認めなかったという事実。

▲尾身先生たちによる専門家会議

1、示すグラフの適当さ。専門家会議の人がたちが示す、グラフには縦軸にも横軸にも数が書いていない。医学論文において、数値のないものは無意味。要するに、観念をグラフに書いてみた程度のもので、ピークがいつなのか、収束がいつなのかなどのことが科学的に示されておらず、ただの空論(希望)でしかない。
2、日本においては、ある程度患者数を抑え込むことに成功したが、それは検査数を絞っていたからである。(3月時点)かといって、検査を抑え過ぎるのは危険である。つまり、事実を見続けることが大切であり、臨機応変に対応していくのが良い。

▲著者が勧める信頼できる情報源

1、厚生労働省のウェブサイト
2、BBC(日本語ページ)
3、ニューヨーークタイムズ
4、CDCのウェブサイト
5、The New England Journal of Medicine(医学雑誌)
6、The Lancet(医学雑誌)
7、著者ツイッターアカウント

▲感染症との向き合い方

1、求めるべきは「安全」であり、「安心」は求めない。安心はあくまでも願望であり、欲望でしかなく、実在するものではない。一方、安全は現実に存在する。リスクマネージメントを行うことで危険性が除去・軽減されることを、私たちは安全と呼ぶわけです。安心したければ、麻薬をすれば良いといった発想。
2、勇気と愚考を履き違えてはいけない。
3、間違ったら素直に認めて、すぐに方向転換すれば良い。
4、知性を信頼する。知性なくして人間性なし。
5、考え続けること。日本のスピード主義に対する疑問。大学入試がゴールの日本の学校教育。18歳で人生が出来上がってしまい、思考停止に陥ってしまうこと

あすも院長の考察

とまあ、箇条書きにしてみましたが、すでに8月も後半であり、世の中の状況も変化してきています。ところが、感染症における基本的な考え方は、それほど変化することは無いように思えます。ワクチンや特効薬の開発などでいくらか良い方向に向かうのでしょうか。

岩田教授もメディアや政府に対しての意見があるようですが、それはともかくとして、本書から学ぶことは、新型コロナウイルスはやはり「正しく恐れる」ということだと思います。感染者または暴露状態のもののほとんどが無症状、軽・中等症ということで、重症化しやすい高齢者(特に80以上)と基礎疾患のある方々は注意が必要なのは言うまでもありません。

健康な若者たちはそれほど深刻になることはないにせよ、人との接し方を気をつけながら社会生活を営んでいく必要はあるかもしれません。

飛沫感染&接触感染である以上、つばや咳を飛ばさないため(人に向けて飛ばさないため)にマスクは有効でしょうし、色んなものを触る手の消毒や洗浄は必要不可欠です。熱や咳、風の症状が出たからといってすぐにコロナウイルスだという確証はないですし、PCR検査の有意性も今後検証が必要になっていくことでしょう。(まあPCR検査を発明した方ですらその効果に否定的だという話なので)

ちなみに、マスクは空気中のウイルスから防御する効果はやはり無いように思えます。ミクロン単位のウイルスを吸い込まないということは到底考えにくいわけで、著者もその考え方は変わらないようです。まあ世の中が落ち着くまでは、つけておくのが何かと無難には思いますが・・・

最後に、このブログではかなり端折って本の内容を伝えてますので、詳しく知りたい方はぜひ手にとって一読することをお勧めいたします。岩田先生の執筆は辛辣でピリ辛な内容のことが多いですが、ニュアンスはいくらか砕けていて上手な表現となっています。もし本ブログに情報のエラーなどがありましたら、ご指摘いただけると助かります。よろしくお願いいたします。

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