霜降りより、赤身が好き!

どうも、あすも院長です。

今回は、ストレスについての図書を紹介します。

ストレスとはなんだろう
著者:杉晴夫(生理学者)

ストレス学説の提唱者「ハンス・セリエ」の研究やホルモンの発見、ストレス疾患やストレス解消法などが細かく書かれています。ストレスとは何なのか?という疑問を大方答えてくれる良書です。今回は、抜粋しながら要点をまとめてみたいと思います。

ストレスとは?

今日では当たり前のように使われるようになった「ストレス」という言葉。天才科学者ハンス・セリエが「ストレス学説」を提唱して「ストレス」という言葉が誕生してから、たったの80年余り。つい最近のことです。

内容の濃い一冊です!

 セリエが医学生のころ、医学界は細菌学の黄金期とも言われ、世の中ではペストなどの感染症の克服がもっとも重要視されていた時代。いわゆる患者がもつ苦痛・症状に対する観察は二の次で、まずは感染症特有の症状を見出し、それに対する治療法を考えるということが優先的にされていたのです。

 セリエはいわゆる病気である一般症状を無視した当時の診断学に、大きな違和感を感じていて、診断で病気の種類を決めることよりも身体に現れる一般症状のメカニズムの解明がより重要ではないかと考えたのです。

セリエの研究

セリエは動物実験で次の3つのことを発見しています。

動物に有害作用(薬理作用・物理作用)が加えられることで 

  ①副腎皮質の肥大
  ②リンパ組織の萎縮 
  ③胃腸の内壁の出血、潰瘍形成

といった体内での変化が起こるということ。これを「警告反応期」と呼んでいる。
警告反応を起こしたこれらの臓器は、つぎに「抵抗期」を迎える。

 抵抗期には動物は元気を取り戻すチャンスを得て、つまり回復をしていくことになる。しかし、ストレスに対して抵抗し続けるには限界があり、抵抗できるだけのエネルギーがなくなってしまうと、動物は急に死んでしまうのである。

 継続するストレスに抵抗するエネルギーが尽きる時期を「疲憊期」(ひはいき)と呼んでいる。

 セリエは以上の①警告反応期②抵抗期③疲憊期 のストレス反応を三つの期間ををまとめて、ストレスに対する全身適応症候群と命名した。

ヒトにみるストレス

昔も今もそれほど変わらないように思われますが、医者が検査して診断してもとくに明確な原因が見られない。でも患者はなんだか気分が優れなかったり、調子が悪いことがよくあります。これを我々は「不定愁訴」と呼びますが、こんなとき医者は「気のせいだから、家で寝てなさい。」などとあまり相手にしてくれないことがありますね。

 ヒトが感じる不定愁訴(ふていしゅうそ)は、まさにストレスを受けた動物に見られる警告反応と同じ現象であり、われわれに加えられているストレスにたいして抵抗していることをわれわれ自身に警告してくれているのです。こんなとき、無理せず安静にしていれば、気分が戻ってくるようなことがあるかと思います。それは、われわれの身体がストレス反応の抵抗期に入り、ストレスを克服しているということなのです。

精神的ストレス

先に述べた、ストレスによる警告反応で①副腎皮質の肥大 と②リンパ組織の萎縮 の2つのパターンは、脳下垂体➡副腎皮質の内分泌系による反応経路と解明されているが、③胃腸の内壁の出血・潰瘍がおこることについては、自律神経系による反応経路とされているものの、未だに解明には至っていません。

 精神的ストレスにより胃腸の内壁が出血したり潰瘍が出来たりすることは、セリエによって観察されていますが、この現象には自律神経系の失調によってみられる現象の一つです。自律神経の失調は、単に胃腸ばかりでなく様々な臓器に疾患を起こす可能性があります。

 とくに重要なのは、自律神経系が心臓血管活動に大きく作用しているという点です。自律神経系の失調により、心臓や血液循環の病気を引き起こす可能性があるからです。これはわれわれの健康を大きく損なう原因となりうることで、ゆえに精神的ストレスは今日われわれが抱える大きな問題と言えるのです。

ストレス解消法と漢方医学

 日本において、中国から伝わった漢方医学は感染症や外科手術を必要とする病気に対しては効力がないため、明治以降に主流となった西洋医学に圧倒されてしまいました。今日では医学の進歩により、感染症の克服、外科手術の技術の進歩によりヒトの寿命も延びて来ています。しかし、一方で中高年者特有の病気が増え、「病は気から」という格言がよく言われるようになったのです。

 とくにわが国では、病院で相手にされない病気(風邪など)には漢方薬や鍼灸治療などが使われてきました。「心身一如」とは、心と身体は一体であるという漢方医学の根本的な考え方ですが、まさに精神的ストレスにより身体を病むという状態が、この言葉を示しているのではないでしょうか。

また著者は貝原益軒の養生訓にも触れていて、
「養生の術はまず心気を養ふべし。心をやわらかにし、気を平らかにし、いかりと慾とをおさへ、うれひ、思ひ、をすくなくし、心をくるしめず、気をそこなはず。これ心気を養ふ要道なり」

つまり「健康を保つには精神的ストレスをなくすことが必要である」ということです。

我が母校についても言及されてます。

 近年では心療内科など病院でも心のケアを専門とする外来が設立され、より患者を見る医療が確立されはじめていますが、基本的には薬による対処療法で根本的な治療にはなりません。また薬も飲み続ければ効き目が薄れ、ドーゼ(薬の量)が増えることもあり身体にとって良いことばかりではありません。

当院での試み

 鍼灸治療には自律神経を調節する効果があり、精神を安静化する役割があります。継続し治療を行うことで、体内環境を変化させ、より健康な身体にしていくことが漢方医学の醍醐味です。精神安定剤のように強い副作用も常習性も全くありませんので、非常に安全な治療法と言えます。お悩みの方は、ぜひ鍼灸治療を試して頂きたいと思います。

カラダの痛み、不眠、ストレスなどでお悩みの方
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